Tweetまとめ 都合の良い美しさなど、いらない

2010年07月25日(日) | カテゴリ Tweetまとめ, Web Journal | コメント(1)

2010年7月25日 Tweetまとめ

上野の東京文化会館。二期会の研究会駅伝コンサート。
今は英語の歌曲のパート。このあとイタリア。
知人がこれから、プッチーニの蝶々夫人を歌う。
細切れなのが物足りないが、いろいろ聴けるのが、楽しみ。

二期会のコンサートを聴き終えて、帰宅。
誰も先のツィートにからんでこない(笑)。
僕がオペラを聴きに行くのが、そんなに不可解なのだろうか(笑)。
今日は、90年代以降の日米関係を調べ直ししていたので、
蝶々夫人の主題と、現実の日米関係が重なり合うように感じられた。

さて、蝶々夫人の話の続き。明治時代の長崎。
武家の娘だった喋々さんは、父親を失い、芸者となる。
夫となったのは、アメリカの海軍士官ピンカートン。
彼は
「喋々は、日本の現地妻、いつか帰国して
アメリカ人女性と本当の結婚をする」と領事に語っている。

続き。
ピンカートンが、アメリカに帰国。二人の間には男の子が。
女中のスズキは、ピンカートンの誠実さを疑うが、
喋々夫人はひたすらに夫を信じて待つ。
まちかねたピンカートンの再来日。
しかし彼はアメリカで米人女性と結婚していた。

続き。
息子を引き取りにきたピンカートンは、
蝶々夫人の誠実さ、純粋さにいたたまれずに、
彼女に会わずに屋敷から去るが、人を介して息子を渡すようにと求め、
すべてを知った蝶々夫人は、
争わず、息子を渡して、父の形見の短刀で、自害する。

続き。
この物語、不実な男と貞淑な女という、普遍的な物語であるとか、
階級や身分差の物語であるとか、読み取ることが
できなくはないだろうけれど、そうであるなら、
やけにあっさりしすぎている。
男の不実がわかってからの、貞淑だった女の恨みが
描かれたっていいはずだ。

続き。
軍人と、その任地で見初めた妻、という物語なら、
島尾敏雄の「死の棘」もある。浮気をした夫に気が狂う妻という、
凄絶な物語に比べ、蝶々夫人の引き際はあっさりし過ぎで、
リアリティーがない。それがオペラ、それが美しさ、
というご意見もあるだろうが。

続き。
とはいえ、最後の場面には、何かが省かれていると感じざるを得ない。
普通に考えたならば、不実な夫と貞淑な現地妻との間には、
すったもんだがあったのではないか、と想像される。
だが、結局は、周りの圧力や説得に屈したのではないかと。

続き。
要するに、何を言いたいかというと、信じていた男に裏切られるし、
大事な子供を手放してしまったし、人生に絶望してしまうような
場面ではあるだろうけれど、そこであっさり死ぬなよ、
といいたいのです。
ピンカートンを恨もうが、忘れようが、構わないけど、
生きていってもらいたいなあ、と。

続き。
別の言い方をすると、彼女を真の絶望と、
死に追いやったものがあるとしたら、不実な男の裏切りではなく、
描かれなかったエピソード、周囲の人間の説得や圧力、
無理解による孤独感だったのでは、と想像します。
そこまで考えたならば、初めて自決という結末にも、
多少は納得がいく。

続き。
仮に、修羅場がなかったかのように、きれいに納めようとする
「圧力」がかかっていたなら、そこにこそ、
米軍士官と日本人女性という関係性の微妙さがあらわれていると
思います。
植民地の奴隷の女、というほどの、
あからさまな差別があるわけではない。

続き。
健気な日本人女性である蝶々夫人は、自分が正式なパートナーであると、
思い込むことが可能な程度のポジションにはいたわけですから。
しかし、秘められた格差、差別は存在した。
ずるいピンカートンは、二重基準で喋々に接してきました。

続き。
誇り高い日本人たる喋々は、その二重性に、
ひたすら気づかないようにしてきた。この健気な振る舞いが、
狡猾な外交を展開する米国から、「世界で最も重要な同盟」と
甘い言葉で、おだてられ、あたかも、
対等なパートナーシップを築いているかのように装う
我が日本政府の姿と、ダブるのです。

続き。
米国の不誠実さは、もう明らか。
だから、「健気に待つ女」のような従順な態度はもうやめて、
米国が本性をあらわしても、「絶望」して、
潔く自決などしないで、うんとジタバタ抵抗しつつ、
抜け抜けと生き延びてやろうではないかと言いたいのです。

続き。
都合の良い美しさなど、いらないから。
先日、沖縄の金城実さんが、米兵と結婚した叔母さんについて、
語ってくれました。泥にまみれ、女を売って生きてきた叔母が、
夫に先立たれたあとも、アメリカで、楽しく、たくましく、
暮らしているよ、と。そういうタフネスこそ、
僕は素敵だなと思う。

written by 岩上 安身

コメント

“Tweetまとめ 都合の良い美しさなど、いらない” への1件のコメント

  1. 本田 治幸

    「オペラ蝶々婦人」はこういう見方があったのですね。
    自害する心境には「生きている価値がない」と思わざるを得ない程
    悲しさと自分に対する哀れさが一杯詰まってるのだと思いました。

    それにしても岩上先生の見事な切り込み方に、今の日米の関係が
    よ~く理解することが出来ました。

    いつもぶれることなく、青竹を日本刀で割ったようなみごとな解説を
    いつも楽しみに読ませていただいています。

    これからのご活躍を期待します。

    返信

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